長年同じ場所に住み続けると、少しづつ荷物やゴミが増えてしまい最終的には自分で片付けることが困難なほどのゴミ屋敷になってしまう事もあります。
一度ゴミ屋敷になってしまうと、引越しをおこなう際に簡単に処理できずに困ったものです。
ここでは、ゴミ屋敷化した部屋からの引越し方法や、ゴミ屋敷から引越す手順や注意点について解説します。
ゴミ屋敷になった部屋は引越し依頼できない?
ゴミ屋敷になった部屋から引越す事になった際に、そのままの状態で引越し業者に依頼しようとしても高い確率で受けてもらえません。
ゴミ屋敷からの引越しを断られる理由としては以下のようなことが挙げられます。
引越しの見積もりを試算できない
引越し業者に依頼する際には、どのくらいの荷物を何個ぐらい運ぶなどという条件で人員やスケジュール調整を行い、見積もり試算します。
ゴミ屋敷の場合には、運ぶ荷物の量が把握できないばかりか、運搬する際の動線を確保できないのでどのくらいの時間で作業が完了できるのか試算できない事があります。
その為に、見積もりを依頼した時点で対応を断られることがあります。
引越しの作業時間が読めない
引越し業者は、1日に何件もの荷物を運んだりします。
その際に、大量のゴミがあると不用品の分別や処理に多くの時間を要してしまいます。
対応には多くの人員が必要になるとともに、当初予想されていた時間通りに作業が終わらなくなる可能性があります。
作業時間を超過してしまうと、次に訪問予定の引越し先に時間通り到着できず迷惑がかかってしまい、会社としての信用を損なうことにも繋がります。
ゴミの処分を請け負えない
ゴミ屋敷にある多くの荷物は、使用することのない不用品です。
家電4品目と言われる「エアコン」「テレビ」「冷蔵庫・冷凍庫」「洗濯機・衣類乾燥機」などに関しては、有料で引き取り処分を行う業者もありますが、一般的に引越し業者がそれ以外のゴミの処分や引き取りサービスを行うケースは少ないです。
ご自身やごみ処理の専門業者に、必要ないものを処分してからでないと引っ越しの依頼はできません。
ゴミ屋敷から引越す際にまず検討すること
ゴミ屋敷から引越しをする際には、まずにご自身で片づけができる状態であるのかを確認します。
ご自身で片付けができない場合には、片付け専門の業者に依頼することで代行して清掃を行ってもらえます。
ご自身でゴミ屋敷の片付けができるかの判断基準としては、以下のような点を基準として考えます。
- 引越しをする部屋の広さ
- 部屋以外にもベランダや車庫などにもゴミがあるのか
- キッチン及びトイレなどの水回りが使用可能な状態であるのか
一般的にワンルームや1LDK程度の広さの部屋であれば、ご自身で掃除をしながら引越し準備をおこなえますが、それよりも広い部屋などの場合にはご自身ひとりでゴミの清掃作業に対応するのは非常に困難でしょう。
また、部屋以外のベランダや車庫など敷地外にもゴミが溢れている場合には、ゴミだけで何トンにもなる恐れがあるので、ゴミ屋敷清掃専門の業者に依頼した方がよいでしょう。
キッチン及びトイレなどにもゴミが溢れて使用できない場合には、排水管などにゴミが詰まっていることも考えられます。
その際には、片付け専門業者の他に排水管をメンテしてもらえる専門家に依頼する必要があります。
ゴミ屋敷から引越しする流れ
ゴミ屋敷から引越す際の流れとしては、ゴミ屋敷の清掃と引越しの2段階の段取りが必要になります。
それぞれの大まかな流れは、以下のようになります。
①ゴミ屋敷の清掃を専門業者に見積もり依頼する
ごみ屋敷からの引越しを、専門業者に任せると決めたらまず見積もり依頼を行います。
電話や専用の問い合わせフォームより連絡すると、作業員が見積もりをしに訪問します。
この際に、必要なものと不必要なものを明確にしておくと良いでしょう。
「片付けコミット」では、ゴミ屋敷での片付け作業中に出てきた品物を買い取るサービスを行っているので、最終的に買取でお値引きも可能です。
清掃した後に引越ししたいことを事前に伝えておくことで、不用品の処分と新居への整理を同時におこなえるので最終的な作業がスムーズに行うことができます。
見積もり金額は、依頼する業者や荷物の量により様々なものになるので、不安な方はパッケージプランなどを用意している業者を利用すると安心です。
②ゴミ屋敷の清掃を実施する
事前に処分するものと、処分しないもののリストを作業員と共有しておくことで大切なものを管理しながら清掃することができます。
基本的な清掃は業者が行うので、ご自身で行うことはありません。
作業員が荷物のことで処分して良いものか分からない場合に、その都度指示を出してあげると良いでしょう。
③引越し業者に見積もり依頼する
ゴミが片付いて、部屋に必要なものだけの状態になったら引越し業者に見積もりを依頼しましょう。
ゴミ屋敷の状態で引越し業者は作業を引き受けてくれませんが、片付いた状態であれば問題なく引越しをお願いすることができます。
荷物が少ない場合には、電話やメールなどで依頼することができますが、ゴミを処分した後も荷物がいっぱいあるようであれば訪問しての見積もりになります。
④引越し作業の実施
引越しのプランにもよりますが、一般的にはご自身で事前に運ぶ荷物を荷造りして準備します。
引越し当日の荷物の搬入と移動は、引越し業者が請け負ってくれるので全て任せましょう。
新居では、ゴミ屋敷にならないように事前に物の配置や整理する場所を決めておくとよいでしょう。
⑤原状回復
現在住んでいる家が賃貸の場合には、退去時に家をクリーニングして原状回復する必要があります。
物件を借りた方が責任をもって、元の綺麗な状態に戻すための費用を負担しなければいけません。
一般的に通常使用の範囲内の汚れであれば、クリーニングなど含む退去の費用は10万円以下となり、入居時に支払った敷金で十分対応することができるでしょう。
一方で、長期間部屋がゴミ屋敷化していた場合などは、壁や床などにカビが大量に生えたりして汚れている可能性があります。
その場合には、部屋の汚れ状態に応じて追加の退去費用支払いを要請される可能性があるので十分に注意が必要です。
ゴミ清掃の際に、業者にハウスクリーニングも依頼しておくと大きな出費をせずに対処できることがあるので事前に追加見積もりを行い確認しておきましょう。
また、原状回復工事を行う際には、入居者が無断で手配すると管理会社がさらにハウスクリーニングをするなど二重費用の発生リスクが高まるので、必ず事前に管理会社へ相談した上で進めると安心です。
ゴミ屋敷から引越す際の注意点
ゴミ屋敷から引越す際には、注意しておくべき点があります。
事前に確認しておくことで、ごみ屋敷からの引越しをスムーズに行うことができます。
ゴミの量が自分で対処できる範疇か確認する
ゴミ屋敷の片付け作業は、広さによって必要な人数が異なり一般的には2人〜4人程度の人数を集める必要があります。
ゴミは可燃物と不燃物の分別や、必要なものとそうでないものまで様々なものを細かく仕分ける必要があります。
また、ゴミ屋敷での作業は決して綺麗な環境ではないので、協力してもらえる人員をまとめて確保できるとも限りません。
このような場合は、費用が発生したとしても専門の業者に依頼する方が早く確実に対処することができます。
管理組合や近隣住民に事前にアナウンスを行う
ゴミ屋敷の掃除は、思った以上に悪臭を放ったり大きな騒音を発生させることがあります。
事前に管理組合や近隣住民に作業の予定を伝えておくことで、作業当日に余計なトラブルが発生することを防ぐことができるでしょう。
特にマンションなどの集合住宅の場合などは、エレベーターや階段などの共用部分を一時的に占有することもあるので注意しましょう。
原状回復に大掛かりな補修が必要な場合もある
ごみ屋敷の状態を長いこと継続させることで、蓄積されたゴミが腐敗して床や壁などを腐らせる場合があります。
賃貸の部屋を退去する際には、原状回復をする必要があるので経年劣化以外での原状回復は借主が負担する必要があります。
壁紙だけの張り替えならさほど大きな金額は発生しませんが、壁や床が抜けたりした際には大掛かりな費用が掛かるので注意が必要です。
特殊清掃や害虫駆除が必要なケースもある
長期間ゴミが堆積することで、一般的な清掃では臭いが取れないことがあります。
そのような場合には、専門の業者を呼び特殊清掃などを行ってもらう必要があります。
また、食べ残しなどのゴミを放置することでゴキブリやダニなどの害虫が大量に発生している可能性があるので、そのような場合には近隣住民への被害を考慮して事前に害虫駆除を行う方が良いでしょう。
ゴミ屋敷の状態を繰り返さないようにする
ゴミ屋敷になるまでものを溜め込んでしまう人は、物を大切にするが故に捨てられない性格の場合があります。
新たな場所に引越しを行ったとしても、転居先で再びゴミ屋敷の状態を再発させてしまう恐れがあります。
その為に、新居には必要最低限の荷物以外は持って行かないようにしましょう。
必要なものと、そうでないものは明確に分けて整理整頓やゴミ処理を後回しにしないように心がけましょう。
ゴミ屋敷にしないための対策
ゴミ屋敷にしないための対策としては、次のようなことが挙げられます。
定期的にゴミ出しをする
地域ごとに、ゴミ出しの日は毎週定期的に決まっています。
忙しさや面倒くささに怠けて、次のゴミ出し日にと後回しが続くことがゴミ屋敷への一歩になります。
ゴミ袋がいっぱいになっていなくて勿体無いなどと思った日でも、定期的に決まった日にゴミを捨てる習慣をつけましょう。
床が綺麗に見える状況を保つ
清潔を保つ為には、足元を汚さないことが肝心です。
脱いだ衣服や食べ残したお菓子、弁当などのゴミをゴミ箱に捨てずに足元に放り出すことを続けると、散らかっている事に慣れてしまいます。
一度その状況に慣れてしまうと、どんどんゴミを溜めてもさほど気にならなくなります。
ゴミが散乱している状態に慣れないように、床を常に清潔に整える事が再発防止に繋がります。
定期的に自宅に人を呼ぶ
定期的に自宅に家族や友人が訪問してくる家では、部屋の掃除をしなければならないという気持ちが発生します。
来客があるタイミングで部屋を奇麗に整える方も多いはずですが、年齢を重ねると友人知人の訪問が少なくなります。
ごみの処分なども今度で良いやなどと先延ばしにすることもあります。
ご自身のことをだらしないと思っている方などは、意識的に来客を誘うと良いかもしれません。
片付けのプロに相談する
身近な家族や友人などに、必要なものや不必要なものを相談するのも良いかもしれません。
しかし、身近な方なだけに本心で捨てたほうがよいと言い辛いケースもあります。
他人からすると全く必要ないと考えるものも、ご自身の中では思い入れのあるものもあります。
そのような際に、ゴミ屋敷掃除専門の業者などのような片付けのプロの視点で荷物の必要性を見直すことも良いかもしれません。
プロの視点でのアドバイスを聞いた後の方が、ご自身で客観的に見て不必要と思えることもあり、ごみ屋敷の現状から抜け出すきっかけになるかもしれません。
まとめ
ゴミ屋敷化した部屋からの引越し方法や、ゴミ屋敷から引越す手順や注意点について解説しました。
ゴミ屋敷になるまで手放せなかった品物たちの中には、当然本当に必要ないゴミもありますがそれぞれに大切な意味があった品々もあると思います。
嬉しかった思い出の記念品や、悲しみを心に刻むためのもの、そしてその感情を乗り越えてきた証など様々な感情が形となってそばにあったと考えられます。
だからこそ、物を捨てることに躊躇して一歩を踏み出せなかったのでしょう。
しかし、物を捨てる事はその時に感じた思い出ごと処分するわけではありません。
捨てることで記憶に刻み未来に進むことができ、捨てることでまた新しい思い出も蓄積されます。
部屋をゴミ屋敷にしてしまうと心も健全ではなくなる傾向にあります。
そして清掃には時間が掛かるので、思い立っても1人ではなかなか行動に移せないこともあります。
そのような場合には、ゴミ屋敷専門の清掃業者に一度相談してみると良いかもしれません。